今年は、天候にも恵まれ、清々しい新年を迎えられたことと存じます。
当院を開業して4年が経過しましたが、まだまだ経験が足りず、万事至らないことも多かったと思いますが、動物看護師たちが私をよくサポートしてくださり、今年も大きな支障もなく新年を迎えることができました。
当院は、「病気は食事の改善から」という考えで、手作り食を勧めている動物病院ですが、現状では食事指導を行うだけで、オーナーさんへの十分なサポートが行えていない状況です。
そのため、昨年はひたすら手作り食の試作に多くの時間をかけていました。
調理法だけで、素材のうまみを引き出し、口のうるさい我が愛犬でも喜んで食べてくれる鶏肉料理を、ひたすら作り続けていました。
料理本だけでも、20冊以上は購入し、料理の勉強に精を出していました。
我が愛犬は、ともかく好き嫌いが強く、看護師が食べても美味しいと評価してくれる鶏肉料理でさえも、まったく食べようとしないことも頻繁で、その度に、レシピを練り直し、試行錯誤を繰り返していました。
素材のうまみを引き出す料理と言えば、ラーメンスープ!?
そう思うと、昨年秋にはラーメンスープ作りを始めていました。
しかし、ラーメンスープを作るにはコストが高くなることや、意外な問題点が見えてきて、3カ月で中断。
その時の経験で、簡単においしいラーメンスープを作れることを学べたので、近いうちにブログで紹介します。
自作ラーメンを味わうのは楽しいですよ。
犬の皮膚病や外耳炎に対して、手作り食の効果は高く、当院の患者さんで手作り食を実践して効果が見られたワンちゃんは少なくありません。
しかし、手作り食を継続するのは、すごく大変だということも、私自身も実践しているので良く理解しているつもりです。
それゆえ、今年こそは、手作り食を推奨するだけではなく、食を提供できる動物病院になれるよう頑張っているところです。
私が栄養学に強く関心を寄せるようになったのは、栄養不足と循環器障害が密接に関連していることを大学時代に学んだからです。私の研究テーマは「マグネシウム欠乏による循環器障害」でした。
ただその当時、栄養学は広く受け入れられる学問ではありませんでした。
病気は薬で治すのが医学であって、栄養学を持ち出すのは医療が出来ない医者のすることという意見が多く、獣医医療でも同じ考えが主流でした。
それゆえ、栄養学だけでなく、臨床の勉強も多くの時間を割き、臨床が出来ないから栄養などを口にする獣医師と言われないないように今日まで頑張ってきました。
余談ですが、私は他の獣医さんとは少し視点が変わっていると思います。
それは、私の臨床の指導医が人の医師だからです。
動物園に勤務していた時、ある野生動物を助けたくて、ある病気に精通している9大学医学部に助けを求めました。
すると1つの県外の医学部から協力の連絡が入り、それがきっかけとなり医学部の先生方から臨床のイロハを教わりました。
私は診察中に、犬や猫の病気を説明する時に、人に例えて説明をすることが多いのですが、それは私の指導医から受けた説明の真似なのです。
「野生動物のことは分からないが、人では○○な症状がでる」「○○な病気の見極めは○○な症状にある」
などといった説明をよくされていました。
私の臨床経験は20年以上になりますが、犬猫ばかりを診察し始めたのは、まだ10年に満たない状況です。
それゆえ、犬猫の動物病院獣医師としては、まだまだ未熟ですが、今年も気持ちを新たに頑張ってまいります。
本年も、アミール動物病院をよろしくお願いします。
コメントをお書きください
ねね (金曜日, 08 1月 2016 21:30)
院長先生、看護士のみなさん、
明けましておめでとうございます。
今年もわん&にゃん共々、よろしくお願いいたします。
帰省をされていたということですが
羽をのばされたのでしょうか。
きっとリフレッシュしてかえってこられたのでは。(*^^*)
イブの日に診ていただいた猫のノアちゃんですが
8日間何も食べなくて、気をもみましたが
30日の日から少しずつ食べ始めて
なんとか年を越し、
今では元通り、いっぱい食べられるようになりました。
ありがとうございました。
手づくり食、
我が家の味音痴で食いしん坊のビーグル犬さくらは
わたしのなんちゃってケトン食を
なんの文句も言わずがっつくので楽ちんですよ。
先生の勧めで始めたケトン食(のようなもの)ですが
与え始めてから10か月くらいです。
今のところ、なんと、けいれん発作が起こっていません。
炭水化物抜きで作ったごった煮。
中鎖脂肪酸にビタミンB群、タウリン、
マグネシウムを意識してヒジキを粉末にしたものも入れてます。
ドライフードはオリジンの野菜と果物と肉だけで作られたものをチョイス。
手づくりとドライフードを半々であげてます。
猫たちにも手づくり食を作ってあげたいとも思っていますが
なかなか、さくらの分を作り続けることだけで手いっぱい。。。
手づくり食が良いとはいえ、作り続けるのはほんと大変ですね。
今年は、ヨーグルトも自作して
わん&にゃんにあげようかとも思っています。
話しは変わりますが
今年の冬は寒くないからか
マダニがまだ活動しています。
くっつけて帰ってくるのでびっくり。
今日、みんなにフロントラインプラスをしたところです。
ではでは。(*^^*)
アミール動物病院 (土曜日, 09 1月 2016 22:17)
ねね 様
手作り食のご報告、ありがとうございます。
効果がみられて良かったです。
人では、小児の難治性てんかんの治療にケトン食療法があります。
これは糖質を制限することにより血液中にケトン体が増えてくることから命名されていますが、
ワンちゃん猫ちゃんでは、糖質を制限してもケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)は増加しません。
最近、人で流行りの「糖質制限食」。
私たちが糖質を制限すると異常にケトン体が増加します。尿中にもケトン体が出てきます。
しかし、動物では糖質制限しても血液中にケトン体は増加しましません。もちろん尿にも出ません。
人において、本当にケトン体が増加するような食事が健康的なのか。
何か、まだ改良点があるのではないかと色々考えてしまいます。
栄養学は、まだまだ分からないことが多いので、楽しい学問だと実感するところです。
今年は食事療法実践の年と考えています。
特に外耳炎やアトピー性皮膚炎など。
頑張ります。
ねね (日曜日, 10 1月 2016 20:27)
お返事ありがとうございます。
ワンコよりも先にケトン食を試したわたし。(*^^*)
ケトン体質になるのは、ほんと簡単でした。
糖質制限&中鎖脂肪酸でケトン体反応即でましたね。
体重も落ちましたよ。
確かにダイエットにはなると思います。
でも、減量したいわけではなかったので
1カ月でやめましたけど。
そうですか、わんこの場合ケトン体が出るわけではないんですね。
発作がおきないのはケトン体が関係しているのではないということですか?
ケトン食をはじめる前でも、
タウリン、ビタミンB群、マグネシウムは意識していれてたので
炭水化物制限と中鎖脂肪酸が
なにかしらよい効果があったと思うのだけれど、、、
食事療法の実践、がんばってください。
また色々と指導をお願いします。
たしろ (まろ) (日曜日, 10 1月 2016)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
ラーメンスープの作り方楽しみにしていますね♪
ずぼらな私も(笑)手作り食歴3年になりました。当初手作り食にするにあたり相談する人も場もなく不安な手探り状態だったので、先生の存在はとても頼りになりました。
試行錯誤をしつつも、好き嫌いもなく食べること命!!のまろなので助かってます。(笑)栄養の偏りなど気になることもありますが、それは年に1回の血液検査で健康チェックをするとして。。。。(^_^.)
先日七草がゆを食べたまろですが、普段より少し白米が多かったのか(おかゆだからと少々量を増やし
たら)やっぱり口唇まわりが赤くなってきました。かゆがったりはしないのですが。。。雑穀は与えるのをやめたのですが、少し気になります。またご相談させていただければありがたいです。(他はいたって元気なまろです。(笑))
アミール動物病院 (月曜日, 11 1月 2016 22:16)
たしろ 様
新年早々、コメントありがとうございます。
もう3年ですか、手作り食のベテラン飼い主さんになられましたね。
また、色々な経験話が聞けるのを楽しみにしています。
山田 (火曜日, 23 2月 2016 20:28)
先日診察してもらいました。
違う病院で出された薬では全く効かなかったのですがこちらの病院で出された薬は凄く効きました!驚きました!体調も良さげです!
獣医さんも看護師さんも凄く優しく安心して見てもらえました。又診察してもらう機会がありましたらよろしくお願いします!本当にありがとうございました!
アミール動物病院 (土曜日, 27 2月 2016 23:41)
診療経過のご報告、ありがとうございます。
お薬には、色々な意味で相性があります。それは、原因だったり、体質だったり。
今回はお薬との相性が良かった上、体調も良さげとのこと、本当に良かったですね。
このような報告をいただくと、次に同じような症状の患者さんを診察する時の参考になります。
こちらこそ、ご連絡いただき、ありがとうございました。
ぴ (木曜日, 17 3月 2016 00:14)
この間猫風邪で見てもらいました。薬を全部使い良くなっていたのですが又くしゃみと目やにが出てきてます。これは猫風邪が又発症したのでしょうか?くしゃみの際に少し鼻血が出るのも心配です。大丈夫でしょうか?
テリア (火曜日, 14 6月 2016 09:50)
先生のブログ楽しく拝見させて頂いております。
お近くであれば愛犬と共に伺って、手作り食の事や腸内細菌の事をお伺いしたいです。
生食がいいのか?加熱食?野菜は?実際どれ位の量をどれぐらいの割合で与えれば健康をたもてるのか・・・
なかなかそういった事をお尋ねしても答えて下さる病院は少ないです。
ほぼほぼ有名メーカーのドッグフードを勧められます。
先生は犬の腸内細菌の研究をされていますが、人には人ののように 犬には犬ののような腸内細菌のサプリメントが販売される予定はありますでしょうか?
犬のアレルギーなどの症状も多くあります。
先生の手作り食のレシピ本や腸内細菌が販売されると、私のように遠くに住んでいる者には助かります。
アミール動物病院 (火曜日, 14 6月 2016 20:00)
テリアさま
手作り食に関してですが、遠方にお住まいとのことなので、
伺いたい内容を記載して、当院にお手紙いただいたら、
時間の許す範囲でお答えします。
お肉や野菜の与える割合? 難しい質問ですね。
実際は便の状態で与える割合を調整しています。個体差が大きいもので。
生食か加熱食か? 鮮度の問題もありますが、加熱肉の方が消化がいいという報告が多々見られます。
お肉は加熱を勧め、野菜は理想はジュースか発酵野菜ですが、ルーチン化は難しいので加熱食でしょうか。
乳酸菌に関しては、今は植物から分離した乳酸菌を用いた研究を行っています。
便から分離した乳酸菌がいいのか、植物から分離した乳酸菌がいいのか、を調べています。
実験は高知大学生が行っていますが(^^;)
参考になる結果がでたら、ホームページで紹介します。
テリア (水曜日, 15 6月 2016 10:36)
お返事ありがとうございます
手作り食の事、色々と教えて下さりありがとうございます。
ご迷惑かと思いますが、機会を見てお手紙書かせて頂きます。
お手数をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします
先生のブログこれからも楽しみにしています
手作り食チャレンジャー (金曜日, 13 4月 2018 00:04)
いつも拝見させていただいております。
「動物では糖質制限しても血液中にケトン体は増加しましません。もちろん尿にも出ません。
人において、本当にケトン体が増加するような食事が健康的なのか。
何か、まだ改良点があるのではないかと色々考えてしまいます。」
とコメントに記載があったので、ぜひ教えていただきたいのですが、本または論文等で発表されていることなのでしょうか?
もし出典元がわかれば教えていただければ幸いです。
アミール動物病院 (金曜日, 13 4月 2018 15:52)
手作り食チャレンジャー様
我が愛犬は、糖質を与えていないのですが、血中にも尿中にもケトン体が増加しません。
当院で測定した結果ですが、同様の食事を与えている別の犬でも結果は同じでした。
食事がケトン食になっているかどうかの指標になればと思い、測定して検証しました。
論文でも学会でも発表する内容では無いので、未報告です。
私の愛犬ダックスは6歳になりますが、外耳炎・皮膚炎はありません。2頭とも元気ですよ。