犬の急性腎不全 -原因検索を忘れずに- その1

久しぶりのブログ更新です。ブログ更新ができなかったのには理由があるのですが、そのワケは近々ご紹介させていただきます。

 

私のブログ、幸いにも多くの方々に読んでいただいているようで、アクセス数の多さに驚いています。

 

特に多いのは病気に関して記載している記事です。

 

飼い主さんが愛犬や愛猫の病気についてネットでいろいろ調べているのがよく分かります。

そのような方々に少しでも有意義な情報を提供できるようにブログは続けていこうと思います。

 

また、当院に来られる患者さんの中には、診察を受ける前にネットで情報を集め、飼い主さん自身で診断して来院される方が増えてきたように感じます。

 

私はそういう患者さんを受け入れるタイプですが、獣医さんの中には気分を害される方がいたり、先入観を植え付けられて誤診してしまうという理由で嫌う先生もいるので、飼い主さんも十分気をつけてくださいね。

(同業者ネタでした)

 

以前に紹介した猫の腎不全にも多くのアクセスがあったのですが、少し困るのはホームページや電話等で病気の相談も増えたことです。病気というのは実際に診察しないと分からないことが多いので返答に困ります。

 

 

今回は急性腎不全を取り上げました。

 

この症例を取り上げた理由は、急性腎不全の治療において大切なのは排尿確認だからです。

 

そのため、通常は入院させて、静脈輸液を行い、排尿の有無を確認します。それを怠ると命にかかわるのです。

 

この症例は腎不全の診断を受けたのですが、入院治療はされなかった例です。

 

連休前だったので獣医師の都合なのか、それとも飼い主の都合だったのか分かりませんが、急性腎不全はワンちゃんのために是非入院治療を選択していただきたいとの思いでこの症例を取り上げました。

 

 

 

11月21日土曜日の午後、遠方からゴールデンレトリバー(9歳♀)がセカンドオピニオンとして来院されました。

 

このワンちゃんは、すでにかかりつけの動物病院で腎不全と診断され、自宅で点滴するように輸液バックや注射針、抗菌薬の飲み薬を処方され、今朝も点滴や投薬をされていたようでした。

診察前に手渡された血液検査のデータは下記のとおりでした。

 

        11月16日    11月20日      

グルコース    90mg/dl    145mg/dl

BUN      16mg/dl    >130mg/dl(増加)

クレアチニン  1.0mg/dl    6.4mg/dl  (増加)

総蛋白     7.2mg/dl    7.7mg/dl

アルブミン   2.8mg/dl    2.7mg/dl

ALT      21mg/dl    121mg/dl

ALP      177mg/dl   1,526mg/dl(増加)

 

赤血球数            454万/μl        

白血球数            31,500/μl(増加) 

血小板数            18,000/μl(減少) 

 

診断名は、「レプトスピラ感染による腎不全」ということでした。

 

ワンちゃんを診察室にお通しすると、発熱は無い(低体温)のに呼吸数が多い。

 

聴診してみると心拍数も多い。血圧を測ると、低血圧。これはもしかして敗血症性ショック?

 

普通、発熱すると心拍数や呼吸数は増えるのですが、低体温なのに呼吸数が多くなる原因としてエンドトキシン血症による可能性が疑われました。

(エンドトキシンには呼吸数を増やす働きがあります)

 

エコーをお腹にあててみると、大きな子宮が映し出されました。んー、子宮蓄膿症???。

 

あらためて血液検査をさせていただくことにしました。

 

検査の目的は白血球数や血小板数の確認と血液の細菌培養など。

 

結果は、白血球数は3万を超え、血小板数は僅か 21,000/μl しかありませんでした。

 

 

この子の病気は、著しい血小板数の減少より子宮蓄膿症からDIC(播種性血管内凝固)を発症している可能性を疑いました。

 

急性腎不全になったのも腎臓への血流を血栓によって遮断されたためと疑うと、これは緊急事態です。

 

腎臓への血流を再開させて、おしっこが作られるようにしないとワンちゃんは助からないからです。

 

生存率の低いDIC、翌朝まで徹夜で治療を行いましたが、朝になってもおしっこが作られない。

 

いつ何が起きてもおかしくない状況を朝方飼い主さんに電話でお伝えしました。

 

間も無く飼い主さんがワンちゃんの面会に来院されました。

 

暫く入院室でワンちゃんと過ごしていらっしゃいましたが、ワンちゃんは安心したのかその後静かに息を引き取りました。

 

院内で泣き崩れたオーナーさんの声がいまだに耳に残ります。

 

助けられなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいでした。

 

 

ワンちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 

 

 

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