毎月、足摺海洋館に往診に伺うと、決まって持ち帰る冊子があります。
それは「どうぶつのくに」という毎月発行されている小冊子です。
その中に、日本鶏を紹介するページがあり、野鶏を見ると必ず思い出す出来事があります。
今回は身分の違いすぎる皇族様とのエピソードであるため、大変恐れ多いのですが、私の思い出話をさせていただきます。
日本動物園水族館協会の総帥は文仁親王殿下こと秋篠宮さまです。
そのため、動物園技術者が集まる研究会にも秋篠宮さまは御臨席されるのです。
平成18年10月25日、鹿児島市(城山観光ホテル)で第54回動物園技術者研究会が開催され、私も公務で出席しました。
その日の夕刻の情報交換会(立食バイキング)の席に秋篠宮さまも御臨席くだされたのです。
動物園関係者5~6人が一つの円卓を囲み、各テーブルを順番に秋篠宮さまが回ってきて、数分間雑談をするという流れです。
この日、私のいた円卓には、偶然にも私が所属していた薬理学研究室の卒業生が顔を揃え、にわかに小さな同窓会になっていました。
動物園というマイナーな会議の場で、学年は違えど同じ時間を過ごした同じ研究室出身の獣医師が4人も顔を揃えるなんて、こんな偶然があるのかと驚きと嬉しさでいっぱいでした。
そんな興奮止みからぬ我が円卓では、秋篠宮さまが来られる前に、少しでも長くテーブルに引きとめるため、どんな話題にするか画策することになりました。
秋篠宮さまが強く関心を持たれているのは「野鶏」かもしれないとの結論に達し、現在、鶏のルーツと考えられているセキショクヤケイ(赤色野鶏)の話題をふってみることになりました。
話題のポイントは、明日ご視察予定の平川動物園にはセキショクヤケイ(赤色野鶏)がいること。
私たち凡人の目では、それが本当にセキショクヤケイなのか判断が出来ないので秋篠宮さまに判別していただきたいという2点でした。
いよいよ私たちの席に秋篠宮さまが来られました。
最初は御自宅で飼われている動物について伺うと、老犬と鶏を飼われているとのことでした。
「えっ、鶏!!!」おー、キターっていう感じで、そこから野鶏に話を持っていくことは造作も無いことでした。
秋篠宮さまに赤色野鶏が平川動物園にいると話をすると、それまでと表情が一変して明らかに興味を持った様子が見て取れました。
そこからは、赤色野鶏から国内の在来野鶏まで話を膨らませ、予定していた時間を大幅に超えて、秋篠宮さまと楽しい会話ができました。
私たちは秋篠宮さまと長く会話が出来たことで、大変満足していたのですが、そのことがこの後に大変な事態を巻き起こしてしまいました。
この続きは、また後日に。
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