先週、子宮蓄膿症を発症した11歳の小型犬が来院されました。
他院で手術は無理と言われ、内科治療を行っていたそうですが、日に日に状態が悪化してきたため、セカンドオピニオンとして当院を受診されました。
オーナーさんは少しでも元気なうちに手術をしたいと希望され、その日の夜に卵巣子宮の全摘手術を行いました。
開腹してみると、子宮蓄膿症だけでは無く、子宮筋腫も併発していました。
内科治療では助からなかったのではと考えてしまいます。
この子が助かったのは、リスクを承知で手術を決断したオーナーさんの覚悟だと思います。
ワンちゃんの寿命が伸びてきたため、高齢になって子宮蓄膿症を発症したり、乳腺腫瘍を発症する症例は少なくありません。
また、高齢ということで今回のように手術を避ける動物病院も少なくないと思われます。
もちろん高齢犬の麻酔を避けたがる動物病院の気持ちも良く分かります。
このような疾病を予防するということで、若齢時に避妊手術を勧める獣医師は少なくありません。
当院ではと言うと、避妊手術を勧めたりすることはありません。
避妊手術のメリット、デメリットを知っていただき、あくまでオーナーさんに決めていただいてます。
避妊手術をしない選択をされた場合、将来的に乳腺腫瘍や子宮蓄膿症を患う恐れがあります。
私は避妊手術推奨獣医では無いので、例え患者が高齢であっても治療の選択肢から手術という選択肢を除外することはしませんが、麻酔という大きなリスクを獣医と一緒にオーナー様も背負う覚悟が必要です。
そのような覚悟を避けたいのでしたら、幼いうちに避妊手術をするのも一つの選択だと思います。
余談ですが、獣医の立場で話をすると、避妊手術は結構緊張する手術なのです。
健康な子を手術するので、オーナーさんは無事に終わって当たり前と思われるでしょう。
そのため、避妊手術であっても万全の構えで手術を行っているのです。
麻酔中はモニターで管理し、術中は点滴を流し、気管チューブを挿管して呼吸は人工呼吸器で調節しています。
日常的に行っている手術ですが、何回実施しても毎回緊張します。
ところで、今回手術した症例には、その後がありまして・・・。
手術は無事に終わったのですが、術後も嘔吐や下痢が治まらず、白血球数も術後さらに増加していました。
吐き気が止まらず、白血球数が高いとなると考えられる疾病は・・・「膵炎」です。
まさか膵炎まで発症していたとは術前に知る由もなく、今回の症例でいい勉強をさせていただきました。
本日、この子が再診で来院されましたが、順調に回復していて安心しました。
そのため、本日、ブログで紹介させていただきました。
下の写真は摘出した子宮と卵巣です。
コメントをお書きください
田代 (火曜日, 19 2月 2013 20:41)
手術をされたワンちゃんが、順調に回復されてよかったですね。
雌と雄とでは違いがあるかとは思いますが、私もまろの去勢を悩み続けています。去勢が当たり前のようにお話する方もいて、1歳過ぎたら遅いとも言われました。子どもをとりたい気持ちもあるのですが、お嫁さん探しも容易ではありません。
性ホルモンに関連する病気の予防という観点においてのメリットは納得できるのですが、マーキング、攻撃性などの問題行動がひどいわけでもないのに去勢をすることに抵抗を感じてしまうのです。
選択肢に絶対という正解がない以上、オーナーの決断がすべてですよね。去勢するもしないもどちらもかわいいわが子(犬ですが(笑))を思ってのこと。
まだまだ悩みます。。。。(笑)
一度みてもらった菅井です (木曜日, 21 11月 2013 22:43)
Hao123の「犬の避妊反対意見」の検索からきました。
先生より前の大勢に読まれているブログさんで犬と犬とワタクシさんで覚えましたが。先生のように犬の生体に素人な意見を獣医の意見で出すのは善くないと思いました。
病気の予防でするのが避妊手術だと先生に御説明を受けましたがはやり間違っておられた。とてもショックで残念です。
我が愛犬の二の舞を外のワンちゃんに踏ませないで生態を学ぶ姿勢で居て下さい。
うり (水曜日, 29 11月 2017 17:40)
避妊手術で悩んだことがございましたので、少し書かせていただきますね。
愛犬を乳腺腫瘍でなくしました。手術のできない悪性の腫瘍で、
12歳を過ぎた頃、しこりを見つけたと同時に、肺に転移しておりました。
私たち夫婦は元気な愛犬に傷をつけることなど考えられず、
避妊手術はしませんでした。
子どもを産ませる予定はありませんでしたが、年に2回くる生理のたびに、
愛犬はせつなげに鳴き、身ごもってもいないのに、乳腺が発達して
子育てをします。
乳腺腫瘍はホルモンにとても影響を受けるようで、
闘病中も生理が来たときは、腫瘍が成長するのではと、
とても心配しました。
乳腺腫瘍から、急性膵炎になり、それが原因で糖尿病、
免疫不全になり、結局は子宮蓄膿症にもなり、
せきを切ったように容態はどんどん悪化する中、
愛犬は最後まで生きて生きて天国に行きました。
避妊手術をしていたら、どうだったのだろうと
今でも悩んでいます。
1E 反論 (火曜日, 06 11月 2018 08:43)
犬・猫に傷付けてうれしのか、可哀そうだよ。飼主も避妊・去勢・したら。獣医の金儲け。
1E 反論 (火曜日, 06 11月 2018 08:46)
上の欄に書き込んだ奴らは何考えてんだ。動物虐待。
義務化断固大反対 (水曜日, 23 1月 2019 20:29)
去勢避妊手術義務化は断固大反対だ!
何故かと言うと例えば、犬猫達のホルモンバランスが崩壊するからだ!
同義務化は差別 (水曜日, 30 1月 2019 14:45)
去勢避妊手術義務化は、明らかな動物差別だ!
だから断固大反対!
ERT (水曜日, 17 7月 2019 01:38)
日本ではネットで調べると避妊推奨派ばかりですが、結局は避妊しないことによりかかる病気の確率はどうなのですか?と言う話だと思います。
メスの場合は去勢の効果が高いようなので分かりませんが、雄だと膀胱がんの確率は低いのですよね?
ポメラニアンとかだとさらに低くなる、それでも皆さん膀胱がんになるから去勢するべきと言うのですかね・・・
調べると、アメリカの研究者か何かの反対論文の和訳で、去勢するとホルモンバランスが崩れるので病気にかかる確率が上がると言う記事が出てきます。そうなってくるとどちらが本当のことを言っているのか謎です。獣医は金儲けって意味もありますしね・・・。
なな (土曜日, 21 12月 2019 00:44)
避妊手術しなくても長生きして20年近く生きている猫さんはたくさんいるのでしょうか?
実例を聞きたいです
ゆんたく (水曜日, 08 1月 2020 11:44)
親戚のミックス犬が子宮蓄膿症の手術で子宮摘出、明日退院ときいて、我が家のオスで1歳5ヶ月のマルチーも去勢を考え初めて、こちらにたどり着きました
去勢についてよく考える機会に出会えて感謝しております
アメリカの論文訳というのも読みました
でも動物病院に行ったら去勢を進められると思います
本当に去勢をしなかったときの病気にかかる確率を知りたいです
アミール動物病院 (水曜日, 08 1月 2020 12:20)
ゆんたく 様
去勢をしなかった時の疾病率というのは報告がありません。どこまで疾病に含まれるかの議論にもなると思うので、調べること自体難しいと思われます。例えば、未去勢犬にしか発症しない肛門周囲腺腫という疾病がありますが、こちらの発症率も論文により様々で、当院での発症数をみると1%以下だと思われます。
当院では、避妊・去勢に関して、いわゆるドライフード(ドックフード)で飼い続ける場合は手術を勧めることがあります。腫瘍を発症するリスクが高くなるからです。腫瘍形成に大きく関わるのがインスリンです。ドライフードは糖分が多すぎるので、糖分の吸収に合わせて、多くのインスリンが分泌されます。このインスリンやインスリン様成長因子と呼ばれるものが腫瘍の発症を促進します。これに関してはたくさんの論文が書かれているので、ネットで調べることもできると思います。
その他にも、疾病発症には様々な要因が関わります。去勢の有無に関わらず病気は発症します。
健康管理は日常の食事と生活環境が大切だと思います。
チワワ (金曜日, 15 5月 2020 18:50)
17歳でてんかんでなくなりました 去勢はどこの動物病院でも勧められたけどしませんでした
10歳からは半年に1回血液検査してました
特に異常なく健康でした
病気になってから去勢しようとおもってましたが
17年も生きてくれたので
結果しなくてよかったです
みどり (日曜日, 21 6月 2020 19:34)
「病気になってから避妊、去勢手術すればいい」、その考えが飼い主として甘いと思います。このブログの通り高齢犬になってからの乳腺腫瘍や精巣腫瘍は手術はできないことが多いからです。私の愛犬は生殖器とは関係のない癌になっていますが、癌は本当に辛いです。高齢のため腫瘍摘出手術では術中死の可能性もかなり高いと言われたし、正直費用もとても高いです。実際に行った手術は100万円以上かかりました。生殖器に関する癌を発症させないためにも、癌になって辛い思いを愛犬にさせないためにも、愛する子に避妊去勢手術を受けさせてあげて欲しいです。
去勢避妊手術義務化断固大反対 (水曜日, 12 8月 2020 18:13)
義務化しようと企んでる政府は犬猫たちの立場を全く考えてない!