炭水化物について -穀物中心のドックフード-

最近、患者さんとワンちゃんの手作りフードについて話をする機会が増えてきました。些細なことでも、経験談は大変勉強になります。もともと栄養学が好きな私ですが、食べ物と健康状態が密接に関係していることを思い知らされたのは動物園での勤務時代でした。動物園で新たに野生動物を飼育する時、食餌は何を与えるかで悩まされます。動物図鑑を見ても食性についての記載は少なく、ましてや主食は何かという大きな疑問が生じるのです。国内や世界の動物園での飼育方法も参考にしますが、概ね手探り状態というのが現状でした。

 

私たち人類も含めて地球上に暮らす霊長類たちは主食とする食べ物を効率よく摂取するために、歯の形や手の作りが進化してきたそうです。「親指はなぜ太いのか(中公新書)」の著者である島泰三氏は実に見事な研究のもとに、歯の形状や指の作りなどが主食と関係していることをまとめ上げています。その中に私たち人類の主食についても紹介されていました。そして、その主食を摂取するために人類は二足歩行を始めたとする論説は見事で説得力があります。興味のある方は、一度読まれてみてはいかがでしょうか(税抜880円)。

 

現代に生きる私たちは、主に穀類やイモ類を主食にしています。世界四大主食という表現があり、これには、米、麦、トウモロコシ、イモの4品種が含まれています。面白いのは、これら4品種の世界での生産高がほとんど同じということです。それゆえ世界四大主食と言われているのかもしれません。私が大学で栄養学を学んでいたころ、ヒトの主食は穀類というのが当たり前のように思っていましたが、上記の書籍を読んで、自分の中の常識が大きく変わりました。それとともに、最近、ヒトの栄養学において炭水化物に関する考え方を大きく変えるような報告が相次いでいるのです。それらの内容が、ヒトの主食が穀類で無いと仮定すると、見事につじつまが合うのです。ヒトの食事も、ワンちゃんと同じ内容にすると、私たちも元気で暮らせると思わせる研究報告です。

 

炭水化物はワンちゃん用の手作りフードでも食材として広く利用されていると思います。ドックフードでさえ穀類が中心です。そのため、最近の炭水化物に対する新たな見解を紹介させていただき、今後の食餌の参考にしてもらえたら幸いです。

 

島氏の論説による人類の主食の栄養比率は、蛋白質約20%、脂質約20%、100gあたりのカロリーは約250kcalで、概ね食肉と一致します。そして、ここに糖質は含まれてこないのです。つまり、人類の主食の中には糖分は無く、たまに果実等で糖分を摂取していたにすぎないようです。現代人が肥満や糖尿病、ガンなどの疾患になりやすいのは、糖分の取り過ぎに原因があるとする研究報告が多数あります。私たちが当たり前のように食べている主食(米や麦など)を減らせば、より健康でいられるとの見解です。これは、ワンちゃんの手作りフードの内容と一致しませんか?ヒトもイヌも、健康のための食事内容は同じかもしれません。

 

次回に炭水化物の取り過ぎと疾病の関係について、具体的な紹介をさせていただきます。少し表現が間違っていますね。現在の栄養指導で摂取している炭水化物の量では、糖分の取り過ぎとの見解にたって疾病との関連を紹介させていただきます。

 

追記

ワンちゃん用の手作りフードを難しいものと考えないでほしいというのが私の願いです。私たちの食事と同じものをワンちゃんに与えたらいいというのが私の考えです。その点で、私たち自身の食事も見直した方がいいという報告があるので、今回はそれをテーマにしました。

 

 

余談ですが、先程、闘病生活をおくってきた桂浜水族館のバンドウイルカが今夜亡くなったと連絡が入りました。回復の兆しが見え出した矢先だったので、大変残念です。あらためてイルカの治療の難しさを思い知らされました。明日の夜、死亡解剖を行い、死因の究明を行います。バンドウイルカの柚羽ちゃんのご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

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