ミネラルを摂ろう 「番外編-ナトリウム-」

最近、ワンちゃんのお食事に手作りフードを与えているオーナーさんが増えてきました。私も手作りフード推奨派なので喜ばしいことと思います。

 

今回は予定していなかったナトリウムについて少し触れてみたいと思います。いまだに犬に塩分は必要ないような記載がみられるホームページや書籍もあるようですが、そんなことはありません。小動物の臨床栄養学では、成犬のナトリウム維持量として、50mg/kg(体重)/dayと紹介されています。これを塩分に換算すると、塩:0.127g/kg(体重)/dayとなり、単純に成人男性60kgに換算すると、7.62g/dayとなり私たちとそんなに変わりないのです。日本人の成人男性では塩分の1日摂取量を9g/dayとされていますが、世界で見ると6g/dayとされています。塩分の推奨量はヒトも犬も大して違いはないのです。人は汗として塩分を排泄できるが、犬は汗腺が発達していないので汗として塩分を排泄できない、このことが塩分制限の理由になっているようですが、野生動物の食餌を見ても塩分摂取が少ないとは思えません(血液や骨などには十分な塩分が含まれています)。

塩分に関しては、ドックフードメーカーによっても考え方が異なります。ヒルズは摂取制限を設け、ロイヤルカナンはあまり制限をかけないなど。それというのも、塩分に関して、はっきりとしたデータやエビデンスが無いためです。塩分を多く摂りすぎた場合の健康障害に関しての報告も見当たりません。また、療法食の中にはかなりの塩分が添加されているのもあるのです。逆に塩分摂取を制限し過ぎると健康上問題が生じます。私の経験では食欲不振です。塩分不足の初期症状でよく見かける行動は、「人の手をよく舐める」「足裏をよく舐める」「排尿後、陰部をよく舐める(尿を舐める)」など。こんな塩分を欲しているような症状が見られたら、ご注意ください。

 

余談ですが、ウサギやモルモットも塩分不足で食欲不振を起こすことがあります。同じ草食動物の牛や馬には当たり前のように塩分が与えられています。時には塩水を与えてみてください。凄い勢いで飲んだら塩分不足かもしれません。

 

 

 

話は変わりますが、桂浜水族館で「アカメ展」を行っています。高知市内の河川でアカメの幼魚の生息調査を行うと、意外にたくさんの幼魚がいることに驚きました。また、同じ場所では絶滅危惧種のトビハゼも確認され、高知の自然の豊かさを思い知らされました。

 

 

コメントをお書きください

コメント: 9
  • #1

    田代 (木曜日, 06 9月 2012 23:41)

    手作りフードを作る際、先生のお話はいつも勉強になります。いつも質問攻めですみません。。。嫌な顔一つせずに丁寧に教えて下さってありがとうございます。

    残念なことに私の周りには、手作りフードで犬を飼っている方がいなくて、最初はわからないことだらけの、手探り状態でした。(まだまだ初心者ですけど。。。(笑))

    もっぱら情報はパソコンを検索。。検索。。。っと。

    塩分に関しても、情報はいろいろでしたので、どれが正しいのかさっぱりわからずのスタートでした。今は我が家的目安で(笑)塩麹や醤油麹をほんの少~~~~~しいれてみたり、味付けなしの日もあったりと、ずぼらな手作りフードを日々作っています。

    塩分不足にならないように、サインを見逃さないように心がけます。

    うさぎやモルモットも塩分不足になるなんて。。びっくりでした。\(◎o◎)/!

  • #2

    徳弘直子 (金曜日, 07 9月 2012 00:30)

    今日のブログの内容とはあまり関係ない事ですが一つ教えて頂きたいことがあります。
    ご飯を食べる時の食器の高さについてです。
    ネットで調べても、本で読んでも、人に尋ねてもそれぞれ意見が分かれててわかりません。
    ペコのような超大型犬の場合、食器を床に直に置くと、食べる時に口から空気が入って胃捻転を起こしやすいのでダメだという説と、食器を台に乗せて高い位置に置くと空気が入って胃捻転を起こすという説があって、どちらが本当なのかわかりません。
    因みにペコは床にそのまま置いて食べさせてます。

  • #3

    宮地里美 (金曜日, 07 9月 2012 10:14)

    こんにちは(^o^)/
    皆さん手作りフード作っている方が結構いらっしゃるんですね。
    我が家でも犬も猫も手作りなんですが、ついついワンパターンになりがちで
    四苦八苦しています。
    うちでは食塩を加えることはしていないですが、味噌を入れることはあります。大豆食品だし、発酵食品なのでいいと思います。それから魚介類には
    塩分が多いので摂取できると思います。イカ・タコ・貝類にはタウリンも
    多いので出来るだけ入れるようにしています。ただ消化が悪いので細かく
    刻むかミキサーにかけるといいと思います。お試し下さい。

  • #4

    ameal-ahp (金曜日, 07 9月 2012 23:11)

    徳弘様、ブログへの質問、恐れ入ります。
    動物関連の質問において回答する時は、エビデンスに基づいて回答するように心がけていますが、質問の回答にあたっては、答えを出せないのが現状です。個体差もあるので、実際に食べ方を見ながら調整していただくのが一番かと思います。
    食器の高さを調整する背景に食道の機能が低下している場合もあります。つまり、消化器系の機能が弱くなっている場合です。高齢であれば、甲状腺機能低下などが無いか日常診療では注意を払っています。この場合、無理な採食行動で胃拡張を起こすこともあるからです。
    超大型犬を飼われているので、胃捻転は気にかかる疾病であることはよく分かります。この疾病に関しては、リスクファクターの疫学調査を行っている大学もあるようなので、近い日にはまとまった報告があるものと思われます。あらたなエビデンスが報告されたら、ブログで紹介したいと思います。

  • #5

    徳弘直子 (金曜日, 07 9月 2012 23:47)

    お忙しいところ、お返事頂き有難うございました。
    大型だからどうこうと言うのではないのですね。
    新しい調査等の報告を、楽しみに待っております。

  • #6

    ルチママ (月曜日, 10 9月 2012 22:09)

    我が家のモルモットがいつもお世話になります(^^)
    最近のルチは、毛の生え変わりが関係するのか??
    食欲旺盛です(^^) モルモットも塩分不足で食欲不振に
    なるとはビックリです。牧草、ペレット、ピーマンにビタミンC、
    猫草の食事でも足りているのは、どこかに塩分が含まれてる
    んでしょうか・・元気です。

    先生のブログを拝見すると、全然知らなかった獣医さんや動物
    看護師さんの一面を見られて、楽しいです。
    初夏に行った水族館で見たイルカ達やコツメカワウソ達も
    先生と深く関わられていたのもびっくりでした。

  • #7

    ameal-ahp (火曜日, 11 9月 2012 11:26)

    ルチママ様、コメントありがとうございます。

    ブログで発信する情報が少しでもお役に立てたら幸いです。
    ウサギ、モルモットの塩分摂取源の多くはペレットだと思われます。
    ペレットの塩分濃度は0.5%前後あります。多いものだと1%くらいでしょうか。ペレットにもドックフードと同じくらい塩分が含まれています。

    身近な塩分ですが、与え過ぎると致死にもいたる怖いミネラルです。しかし、生物にとって適量は必要なミネラルなのです。

  • #8

    ゆりんこ (水曜日, 16 3月 2016 15:57)

    お忙しいところ申し訳ございません。
    アメリカ科学アカデミーは、NRC(National Research Council)の
    イヌとネコの栄養要求量を公表していますが、
    これは世界でもっとも権威ある基準として各国から評価されており、
    日本もこれに従っていると言う事ですが、
    これによりますと、1日0.242g/kgの塩の摂取が必要とあります。
    また、成長中の犬はこの2倍とありますので、
    こちらの記述は誤りと思われますがいかがでしょうか?

  • #9

    アミール動物病院 (水曜日, 16 3月 2016 21:37)

    ゆりんこ 様

    栄養学に興味を持たれていると思っていいのでしょうか。

    塩分の適正摂取量に関しては、犬も猫もいまだに結論は出ておりません。
    何が正しいのか、分かっていないのです。
    世界中の論文を集めてみると、ますます分からなくなると思います。

    例えば、猫に関しては高塩分食を与え続けても高血圧にはならないとされています。
    犬も猫も、塩分の排泄能力は人より格段に優れているわけです。
    これは解剖学的・組織学的に腎臓の構造が人と違うからです。
    そのことは、学窓社から出版されている「明快 哺乳類と鳥類の生理学」に記載されているので、参照されたらいいと思います。

    今回、ブログで塩分量を紹介したのは、一つの例で、これが正しいとは思っていません。
    塩分の適正摂取量に関して、結論も出ていないわけですから。
    逆に犬や猫には塩分を与えてはダメという風潮があるので、そんなことないよということが言いたかったのです。

    当院では、ワンちゃん、猫ちゃんに手作り食を与える場合、塩分は必要ですが、人と同じ程度の味付けでまったく支障はないと答えています。

    塩分の与え方に関しては、今は何を指標にしても構わないのではないでしょうか。

臨時休診のお知らせ

現在、予定はありません

 

 

 

 

動物看護師の募集

来春(2018年4月)より働いていただく動物看護師を募集しています。

詳細はトップページに記載。